文教児童委員会にて、三重県津市と三重大学が共同で運営する「子ども教育センター」視察。
学んだことを先に述べますと、板橋区でも大学と連携した「大学内居場所事業」といった不登校支援を行っていますが、研究と実践が一体化した津市のモデルは先進的であり、多くの不登校児童生徒がいる板橋区でも津市の取り組みは参考になりました。
板橋区には発話障がいに対する取り組みがないため、今後の研究課題としたいです。
後述する「教育相談室」では、相談の51%は園・学校からで、不登校傾向の生徒への指導法について担任が助言を求めるケースが多いとのことですが、教職員の相談体制の充実も秀でていると感じました。
視察内容に戻ります。
市と大学が共同で教育施設を運営することは全国的にも珍しく、以前からの津市と三重大学との連携協定を土台として、増加する不登校児童生徒や特別な支援を要する子どもたちへの実践的な支援体制を構築するために子ども教育センターを設立したそうです。
市側は大学の研究成果を現代的な教育課題に迅速に活かすことを求め、大学側は通級学級の代替機能と実践の場を求め、設置に至ったそうです。
子ども教育センターは
・教育支援センター(不登校児童生徒への指導や支援)
・通級指導教室(言語、情緒等)
・教育相談室(幼児、児童、生徒とその保護者、教職員を対象に心や体の発達、行動、生活や学習の教育相談)
の3つの機能を一つの施設に集約しており、施設間の連携を密に行うことで、子ども一人ひとりのニーズに応じた包括的な支援を提供しています。
不登校や特別な支援が必要な児童生徒数は増加傾向にあり、これに対応するためには、従来の手法に加え、大学の専門的知見やICT、学生ボランティアなどを活用した多角的なアプローチが不可欠とのこと。
子ども教育センターの運営は、市の教育課題解決と大学の研究・人材育成という双方のニーズを満たすWin-Winの関係に基づいており、市は質の高い支援体制の構築を、大学は実践の場を得ることができます。
運営費は市が年間410万円(令和7年度から425万円)を負担し、国や県からの補助金は受けていないそうです。
この度の視察にご対応いただきました皆様方に御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。
※以下は細部になります。
【通級指導教室における言語の教室】
・常勤教職員2名+他校からの兼務職員1名、利用児童生徒約50名。
・通級指導教室の利用は週最大8時間までの規定であるが、実際は週1~2時間が多い。
・指導は基本的に個別で、在籍校の授業時間を振り替えて実施。
・吃音などの発話障がいは、矯正よりも特性理解と日常や学校生活での適応を重視。
・指導期間は最長3年であるが、3年での完治は稀。中学以降・社会人まで見据えた長期的関わりを継続。
・卒業後も先輩参加の学習会等でフォローアップ。
・口腔外科専門家と連携し、発音指導等も実施。
・通級指導教室の教員は小学校教諭で、人事異動により配置。
・津市内には子ども教育センター以外にも各小学校内設置の通級指導教室が存在。
【教育相談室】
・公認心理師3名が在籍。
・相談の51%は園・学校からで、不登校傾向の生徒への指導法について担任が助言を求めるケースが多い。
・教員が保護者とともに来談するケースもあり。
【教育支援センター(ほほえみ教室)】
・登録制(約40名)で、来たい時にいつでも利用できる居場所であり、日ごとに利用人数は変動。
・学習に加え、ボードゲーム等で学年を超えた対話や共同活動を実施。
・夏休みは基本休みであるが、登校日を設け、工作、陶芸、社会見学などの自立体験活動を実施。
・昼食提供はなし。弁当を持参。
・iPad5台を配置し、在籍校との連携に活用。
・学校課題にタブレットで取り組み、提出等の連携を実施。
【三重大学との連携】
・大学1年生から「ふれあいアシスタント」として学校現場に関与する機会を提供。
・大学1年生は附属学校の全職員と座談会を行う機会があり、大学2年生は津市の指導主事らと座談会を行う機会がある。
・教員志望者減少の歯止めを狙う取り組みでもあるが、全国的傾向と同様に課題は継続。